- 世界の投資家にとって、債券市場を回避する理由は数多く存在している。インフレ率は過去数十年に見られなかったような水準にあり、経済は急成長しており、各国中央銀行は債券購入を縮小しつつあり、既に利上げを実施した国もある。このように、市場コンセンサスは今後金利が上昇すると予想しており、「債券に投資すべきでない!」との悲鳴も聞こえる。
- 過去40年間における危機がそうであったように、現在の景気サイクルにも独自性がある。しかし結果的に、どの景気回復期にも共通していることが1つある。それは、債券への投資機会があるということだ。経済の急成長によって金利は上昇するが、その後は人口の高齢化や高水準の債務比率といった長期的なファンダメンタルズの圧倒的な下げ圧力に晒されることになる。確かに、足元の金利水準の低さから考えると、過去のサイクルと比較してリターンは抑制されたものとなるであろう。しかし、タイミングという観点で考えると、世界の多くの債券市場の金利は2021年第1四半期末にピークを打ったと見られることから、2022年は債券の強気相場が既に始まっている可能性がある。
- 本稿ではまず、足元のインフレ高進を1970年代の事例と比較することから始めたい。多くの相違点はあるものの、結果的には相違点よりも類似点の方が多いと言えるだろう。つまり、金融当局はインフレの抑制に重点を置いており、これが債券市場を巡る状況を好転させる結果となっている。続いて、我々の強気な見方を裏付けるポイントを幾つか紹介した後、想定されるリスクシナリオと投資への影響について検証する。
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データの出所(その他特に断りのない限り):PGIMフィクスト・インカム、ブルームバーグ、2022年1月現在。
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