2020年第4四半期の株式市場は、投資家の記憶に残る一年の最後を飾るに相応しい四半期となった。11月には、新型コロナウイルスに関し研究が進んでいた体内のメッセンジャーRNAを活用する2種類のワクチンの治験が成功し、米国食品医薬品局を始めとする世界各国の保健規制当局に承認されたことで、世界株式市場の上昇は範囲を拡大し、特に新型コロナウイルスによって最も悪影響を受けた企業の株式が反発した。
景気回復は続いているものの、追加的な米国の追加景気対策を巡る交渉が長引き、個人消費、企業心理、雇用等の改善ペースは鈍化した。連邦準備制度理事会(FRB)は、緩和政策維持の継続を表明している。一方で投資家は、今後の景気回復がより広範に亘ると見ており、米国長期債の利回りは若干上昇した。低金利やコロナ禍を背景とした郊外住宅に対する需要が支援材料となり、住宅市場は堅調に推移している。
英国と欧州連合間のEU離脱交渉は12月末までに概ね終了し、新たな自由貿易の基盤が整った一方で、将来的に両者間の協力や貿易に関し不確実性が残った。中国では、規制当局が国内の大手インターネット業者の反競争的行動への対抗措置を発表し、予定されていたアント・グループの新規株式公開を取り消した。活発に発言する創業者のジャック・マー氏との緊密な関係と、中国の個人金融サービス市場で業務分野を一層拡大しつつあることが、アント・グループの新規株式公開の取り消しにつながった。新法令により不透明性が高まったことで、中国のインターネットおよびテクノロジー関連銘柄の株価は年末にかけた数週間で下落した。
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