新型コロナウイルスのワクチン接種が急速に進んでいることに加え、米国救済計画法(American Rescue Plan Act)に基づく追加財政刺激策が近い将来に実施される見込みであることを背景として、2021年後半に米国経済が大きく成長するとの期待が広がっている。しかし、こうした楽観論がある一方で、少なくとも短期的にはインフレ率が急騰するのではとの懸念も高まっている。本稿では、元イングランド銀行金融政策委員会メンバーで、現在はQMA Wadhwaniのチーフ・インベストメント・オフィサーを務めるSushil Wadhwani(スシル・ワドワニ)が、インフレに関する問題、および価格上昇圧力がリスク資産のパフォーマンスに及ぼす影響について、一問一答形式で見解を示す。
ワクチン接種の急速な進展、米国の新たな財政刺激策、消費者の繰り延べ需要効果を踏まえ、短期的および長期的なインフレ率についてどのように考えているか?
これに関しては、回答するのが難しい部分がある。短期的に見れば、幾つかの要因を背景として、我々はインフレが急上昇するとの見方を強めつつある。1つ目の要因として、2020年データと比較したベース効果が挙げられる。2020年第2四半期、世界経済は軒並みロックダウン(都市封鎖)の影響を受け、物価は大きく下落した。足元では徐々に経済が再開されており、昨年の同時期に物価が大きく下落したことの反動で、対前年インフレ率は上昇する可能性が高い。
短期的に物価が上昇すると思われる2つ目の要因として、コモディティ価格が大きく上昇していることが挙げられる。コモディティ価格の上昇はインフレ率の上昇に波及するため、コア・インフレ率には反映されないにせよ、対前年インフレ率は上昇すると考えられる。
3つ目の要因として、米国および欧州の貯蓄率を見れば明らかだが、ロックダウンの期間を通じて消費者は外出を控えざるを得ず、これによりサービス支出が抑制され、余剰金が貯蓄に回ったことで貯蓄率が非常に高まっていることが挙げられる。当然の結果として、大きな繰り延べ需要も蓄積しており、消費者はこうした貯蓄の少なくとも一部を支出に回すと我々は見ている。現在、どの程度の貯蓄が消費に回るかについてはエコノミストの間で見解が分かれるものの、こうした貯蓄が消費に回ること自体に異論を唱えるエコノミストはいないだろう。そして、ごく短期的に見れば、こうした消費活動に対して供給面では制約があり、これが原因となって価格上昇圧力がかかるであろう。
短期的なインフレ上昇に関する4つ目の要因として、2020年に実施された、および2021年に実施される大規模な財政刺激策が挙げられる。こうした2年間にわたる大規模な財政刺激策によって、ある程度の価格上昇圧力がもたらされる可能性がある。つまり、財政パッケージが大規模であるが故に、価格上昇圧力がもたらされることになる。
続きはレポートをご覧ください。
留意事項1
当レポートは、プロの投資家を対象として作成されたものです。すべての投資にはリスクが伴い、当初元本を上回る損失が生じる可能性があります。過去の運用実績は将来の運用成果を保証するものでも、信頼できる指標となるものでもありません。
本資料は、経済状況、資産クラス、戦略に関する資料作成者の見解、および意見について示したものです。本資料を当初の配布先以外の方(当初の配布先の投資アドバイザーを含む)に配布することは認められておりません。またQMA LLC (以下「QMA」という)の事前の同意なく、本資料の一部または全部を複製することや記載内容を開示することを禁止いたします。本資料に記載されている情報は、現時点でQMAが信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報の正確性、完全性、および情報が変更されないことを保証するものではありません。本資料に記載されている見通しは、情報提供のみを目的としたものです。こうした見通しが達成されることを保証するものではありません。
本資料は特定の証券、その他の金融商品、または資産運用サービスの勧誘を目的としたものではなく、投資に関する判断材料として用いるべきではありません。本資料に記載されている情報や本資料から導出した情報を利用したことにより(直接的、間接的、または派生的に)被り得るいかなる損失ついても、一切責任を負いません。QMAおよびその関係会社は、それぞれの自己勘定を含め、本資料で示した推奨や見解と矛盾する投資判断を下す可能性があります。本資料は、情報提供または教育のみを目的としています。これらの情報を提供するに当たってQMAはお客様に対して、受託者としての役割を果たしているのではありません。
香港では、香港の証券・先物取引監察委員会の規制対象企業であるPGIM(香港)リミテッドの担当者が証券先物条例の第一項第一条で定義されている適格機関投資家に対して情報の提供をしています。
英国では、PGIMインクの間接子会社であるPGIMリミテッドがプロの投資家に対して情報提供を行います。PGIMリミテッドの登記上の所在地は以下の通りです:Grand Buildings, 1-3 Stand, Trafalgar Square, London WC2N 5HR。PGIMリミテッドは、英国の金融行動監督庁(FCA)の認可および規制を受けています。(企業参照番号:193418) 欧州経済領域(EEA)では、PGIMネーデルラント B.V. がプロの投資家に対して情報提供を行います。PGIMネーデルラント B.V.は、オランダ金融市場庁(Autoritiet Financiële Markten - AFM)によりオランダで認可を受けており、欧州パスポートに基づいてサービスを提供しています。特定のEEA諸国では、それが認められる場合には、英国のEU離脱後の一時的な許可取決めに基づき、PGIMリミテッドが利用できる規定、免除またはライセンスに従って、プロの投資家に対して情報提供を行います。これらの資料は、PGIMリミテッドまたはPGIMネーデルラント B.V.によって、FCAの規則が定めるプロの投資家、および/または第2次金融商品市場指令 2014/65/EU (MiFID II)で定義されているプロの投資家に対して情報提供されるものです。
日本では、日本の金融庁に投資顧問会社として登録しているPGIMジャパン株式会社が情報を提供しています。香港では、香港の証券・先物取引監察委員会の規制対象企業であるPGIM(香港)リミテッドの担当者が証券先物条例の第一項第一条で定義されている適格機関投資家に対して情報の提供をしています。シンガポールでは、シンガポール金融管理局(MAS)に登録、認可受けているシンガポールの資産運用会社PGIM(シンガポール)Pte.Ltd.(PGIMシンガポール)が情報を提供しています。この資料は、シンガポール証券先物法第304条、第289章(「SFA」)に基づく「機関投資家」向けの一般情報、および「SFA」の第305条に定める条件「適格投資家」あるいはその他の関係者向けの一般情報として提供されるものです。韓国では、韓国の適格機関投資家に投資一任管理サービスを直接提供することを許可されたQMAによって情報提供されます。
米国のプルデンシャル・ファイナンシャル・インクは、英国を本拠とするプルーデンシャル社、あるいはM&G plcの子会社であり英国を本拠とするプルーデンシャルル・アシュアランス・カンパニーとはなんら関係がありません。QMA、QMAのロゴ、およびロック・シンボルは、プルデンシャル・ファイナンシャル・インクおよびその関係会社のサービスマークであり、多数の国・地域で登録されています。
本資料はそれぞれのお客様の置かれている状況、投資目的、あるいはニーズを考慮しておらず、投資戦略を推奨するものでもありません。本資料に記載されている金融インデックスは、情報提供のみを目的としたものです。インデックスに直接投資することはできません。これらインデックスに関する統計データは、信頼できると判断した情報源から入手したものですが、個別の検証を行っていません。
本資料に記載されている情報のうち、将来の見通しに関する記述(市場動向、業界の動向、法規制の動向など)は、現時点で入手可能な情報に基づいて当社が判断したものです。様々な要因により、実際の事象や業績は本資料の見通しと大きく異なるものとなることがあります。よって、こうした将来的な見通しに関する記述に基づいて、投資判断されることはお控えください。将来の業績や見通しに関する記述については、何ら保証または表明されるものではありません。
本商品または本資料に記載されている情報は、MSCIインデックスのデータの一部に基づいてからQMAが作成したものですが、MSCIは本商品または本資料についてレビューを行っておらず、よってMASIは本商品、本資料、当社による分析についていかなる承認も支持もしていません。MSCIまたはいかなる第三者も、インデックスに関するデータの計算または編集に関与しておらず、よって本資料に記載されているインデックスに関するデータ、情報、その他のデータに関していかなる明示あるいは黙示の保証、表明または保証を行っておりません。いかなる場合においても、MSCIまたはいかなる第三者は、本資料で記載された情報の使用に関するいかなる直接的、間接的、特別、懲罰的、派生的、またはその他のいかなる損害(逸失利益を含む)に対して一切責任を負いません。インデックスに関するデータの仕様に当たっては、MSCIからの直接の承諾が必要です。いかなるインデックスに関するデータも、投資に関する助言あるいは何らかの投資判断を推奨 (または投資判断をしないことを推奨)するものではなく、投資に関する判断材料として用いられるべきではありません。
情報は信頼できると考えられる情報源から入手されたものですが、JP モルガンはその完全性や正確性を保証するものではありません。インデックスの使用には許可が必要です。この指標の複製、使用、または配布には、J.P.モルガンによる事前の書面による承認が必要です。著作権:J.P. Morgan Chase & Co 2021。無断転載は禁じられています。
ロンドン証券取引所グループplcおよびそのグループ企業は、「LSEグループ」と総称されます。商標:LSE Group 2021。FTSE RussellはLSEグループの一部をなす商号です。「FTSE Russell®」はLSEグループの商標であり、ライセンスに基づきLSEグループに属する企業が使用します。FTSE Russellインデックス及びインデックスのデータに関する権利は、インデックスまたはデータを所有するLSEグループ関係会社に帰属します。いかなるLSEグループ企業も商標の使用許諾者も、インデックスやデータに起因する過失や遺漏があった場合に、いかなる責任も負いません。また、本資料に含まれるいかなるインデックスやインデックスに関するデータも投資に関する判断材料として用いられるべきではありません。LSEグループによるデータの二次利用には、LSEグループ関連会社の書面による承諾が必要です。LSEグループは、本使用に記載されている内容に関して、いかなる奨励、後援、承認もしていません。
BLOOMBERG ®はブルームバーグ・ファイナンスL.P.およびその関連会社(総称して「ブルームバーグ」)の商標およびサービスマークです。BARCLAYS ®はバークレイズ銀行 Plc 及びその関連会社(総称して「バークレイズ」)の商標およびサービスマークであり、認可に基づき使用されています。バークレイズを含む、ブルームバーグ及びバークレイズの商標の使用許諾者は、ブルームバーグ・バークレイズ・インデックスに対する一切の独占的権利を有しています。ブルームバーグまたはバークレイズは、本資料を承認または保証していません。また、本資料の情報の正確性または完全性についても保証していません。また、いかなる結果に関しても明示または黙示を問わず保証しておらず、法律で認められる最大限の範囲において、その損失に対して一切の責任を負っていません。
著作権 2021。スタンダード&プアーズ(S&P)は、McGraw-Hill社の一部門です。タンダード&プアーズ及びその子会社(総称して「S&P」)はMcGraw-Hill社の一部門であり、S&Pおよび第三者である商標の使用許諾者がS&Pデータの独占的所有権を有しています。S&Pのデータは、業務での使用のみを目的とした社内データであり、いかなる違法目的あるいは不正目的での使用は禁じられています。いかなる形式であっても、S&Pデータの分配、配布、複製には、S&Pの書面による事前承認が必要です。S&Pは、いかなる情報についても、その正確性、妥当性、完全性、利用可能性を保証するものではなく、過失、遺漏、あるいは情報の使用により得られた結果に関して一切の責任を負いません。
QMA-20210308-84
留意事項2
本資料は、PGIMジャパン株式会社(以下、当社)の関係会社であるQMAが作成した”INFLATION: SHORT-TERM ABERRATION OR LONGER-TERM THREAT?”を当社が翻訳したものです。原文と本資料の間に差異がある場合には、原文の内容が優先します。原文レポートの閲覧をご希望の場合は、当社の営業担当者にご連絡下さい。
QMAは、プルデンシャル・ファイナンシャル・インクの資産運用部門であるPGIM傘下のクオンツ運用に特化した運用会社です。
本資料は、情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘又は販売を目的としたものではありません。また、本資料に記載された内容等については今後変更されることもあります。
記載されている市場動向等は本資料作成日時点での見解であり、これらは今後変更することもあります。また、その結果の確実性を表明するものではなく、将来の市場環境の変動等を保証するものでもありません。
本資料に記載されている市場関連データ及び情報等はQMAが信頼できると判断した各種情報源から入手したものですが、その情報の正確性、確実性についてジェニソンならびに当社が保証するものではありません。
過去の運用実績は必ずしも将来の運用成果等を保証するものではありません。
本資料は法務、会計、税務上のアドバイスあるいは投資推奨等を行うために作成されたものではありません。
当社による事前承諾なしに、本資料の一部または全部を複製することは堅くお断り致します。
“QMA”、“Prudential”、“PGIM ”、それぞれのロゴおよびロック・シンボルは、プルデンシャル・ファイナンシャル・インクおよびその関連会社のサービスマークであり、多数の国・地域で登録されています。
PGIMジャパン株式会社は、世界最大級の金融サービス機関プルデンシャル・ファイナンシャルの一員であり、英国プルーデンシャル社とはなんら関係がありません。
PGIMジャパン株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第392号
加入協会 一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会
PGIMJ81085