- 個人消費がレジャーやサービスへとシフトする中、一般消費財、アパレル、家庭用品の小売業者が、値引きや利益率の低下を犠牲にして余剰在庫の処分に苦労している一方で、米国の自動車メーカーはまさに正反対の状況にある。
- 過去数年にわたる半導体チップ不足や世界的なサプライチェーンの混乱により、米国の自動車生産台数は経済成長のトレンドを下回る水準に留まっており、自動車メーカーは消費者需要に十分に応えられていない。コロナ禍開始以来、自動車販売台数は需要に対して500万台以上不足していると試算され、大規模な買い替え需要が積み上がっていると見られる。
- 一方、7月末時点の米国の自動車在庫は、コロナ禍前の標準的な水準の僅か4分の1である110万台となっている。その結果、コロナ禍前の平均と比べて新車価格は約30%、中古車価格は約60%値上がりしており、自動車メーカーは販売台数の減少にも拘わらず過去最高の利益水準を達成しようとしている。
- 2022年後半から2023年にかけて自動車生産が正常化し始めれば、経済の減速とともに新車および中古車価格は低下に向かうと思われる。しかし、販売店の在庫不足を背景に当面は足元の価格水準がある程度維持され、世界的なサプライチェーンの混乱等が続けば、供給面の逼迫から高い利益水準を享受し続ける可能性も考えられる。いずれにせよ、米国の自動車生産は既に経済の縮小局面に近い水準で推移しており、在庫も大幅に枯渇している。このため、過去に比べて自動車メーカーの収益性は最終需要に対する感応度が低くなっており、現在の自動車業界のファンダメンタルズは過去のそれとは異なる状況にあると考えられる。
- バランスシート面でも、事業環境の悪化に対する緩衝材として豊富な流動性を備えている。また、過去数年間に発生した一連の逆風を乗り切る中で製品ポートフォリオの合理化が進む等、財務の柔軟性についても過去の景気後退期と比べて改善している。
- 当然ながら、自動車産業は原材料価格の変動、金利水準、個人の借入余力等の影響を受け、景気後退の余波を免れることはないだろう。しかし、低い在庫水準、相当量の買い替え需要、健全なバランスシートが相俟って、その影響は緩和されるとともに、より迅速な回復が下支えされると考えられる。すなわち、米国の自動車メーカーにとって、今回の景気後退局面は、これまでとは本当に異なる可能性がある。
- こうした状況を踏まえ、PGIMフィクスト・インカムは市場全体や他の景気循環セクターと異なる状況にある自動車セクターへの資産配分を戦術的に活用することを検討している。市場評価が変化する中、市場全体の下落局面は特定の自動車メーカーやサプライヤーのオーバーウエイトを検討する機会と捉える一方、リスク/リターンが非対称にマイナスに傾く場合にはエクスポージャーの削減を検討する。PGIMフィクスト・インカムでは、今後も投資目的達成のためにはアクティブ運用が重要となる期間は続き、それが長期化すると考えている。
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