- 6月15日に開催された理事会において、欧州中央銀行(ECB)は25bpsの利上げを決定するとともに、バランスシート縮小の加速を確認した。これらは概ね市場参加者の予想と一致するものだったが、理事会後のラガルド総裁の記者会見では予想を上回るタカ派姿勢が示され、今後ECBは米連邦準備制度理事会(FRB)とは異なる政策を実施すると決断したことが明らかになった。
- 最新の経済見通しで、ECBはGDP成長率見通しを僅かに下方修正した。より重要なのは、インフレ率が予測最終年の2025年においても目標を上回ると予想されたことである。ラガルド総裁は、この背景として予想を上回る単位労働コストの高止まりを挙げたが、ユーロ圏の労働市場が堅調に推移する中でも賃金と物価のスパイラル的な上昇の兆候は見られていないことについても言及した。
- とは言え、ECBは、賃金と物価のスパイラル的な上昇が顕在化するリスクを見通しに織り込んでいるとPGIMフィクスト・インカムは受け止めている。このことは、たとえ引き続き消費がコロナ禍前の水準を下回り、低迷し続けたとしても、ECBは預金ファシリティ金利を4%近辺まで引き上げる用意があることを示唆するものである。
- これらを踏まえ、PGIMフィクスト・インカムでは、次回開催の理事会で25bps利上げを実施し、年後半にかけて経済活動が低迷する中で利上げを休止すると見ている。こうした見方は、欧州のGDP成長率が2023年の0.6%から2024年には0.4%に低下するとのPGIMフィクスト・インカムの予測を反映している。
- 予想を上回るECBのタカ派姿勢は市場にとってのサプライズとなり、ドイツ国債利回りは短期ゾーンを中心に大きく上昇し、イールドカーブはフラット化した。また、短期国債市場では7月の25bps超の利上げと、9月の25bps程度の追加利上げを織り込んだ。
- 一方、リスク市場は堅調に推移し、イタリアおよびスペイン国債のドイツ国債利回りに対するスプレッドは概ね安定的に推移した。対照的に、ユーロは対米ドルで大幅に上昇した。これは、さらなる金融引き締めによって欧州経済が冷え込むリスクがある中、それ以上に金利差が大きく反映されたものだと考えられる。
- ECBは独自の政策路線に舵を切り、今後も継続的な利上げを示唆しているが、これは更なる供給ショックに対して脆弱な欧州経済をより弱体化させる可能性があり、欧州のリスク資産市場にとって大きな懸念材料となる。また、イールドカーブ全体に亘る金利上昇と相俟って、PGIMフィクスト・インカムのユーロ圏のリスク資産に対する慎重な見方を裏付けている。
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