パンデミック後の世界
2020年5月15日
新型コロ ナウイルスによってもたらされた世界的な危機は、大規模な構造的・循環的変化を引き起こす可能性が高い。本稿では、サプライチェーン、在庫管理、資本政策、商業用不動産の4項目に焦点を絞り、企業のビジネスモデル再考につながる構造的変化と投資行動に与える影響を考察した。
前例のない規模と速度で人道的危機、社会的危機、および企業活動や経済的な危機をもたらした新型コロナウイルスの世界的な流行によって、各国政府、医療システム、地域社会、企業、生活共同体は大きな混乱に陥っている。外出制限が解除された後でも、今回の危機は世界中で大規模な構造的・循環的な変化を引き起こす可能性が高い。
本稿では、今後の企業のビジネスモデルの再考を促す可能性がある次の4つの構造的変化に焦点を当て、PGIMの投資プロフェッショナルとリサーチ・チームの考察をまとめた。
- グローバル・サプライチェーン: グローバルなサプライチェーンは、(a)より回復力が高く、分散化され、複数の地域にまたがるサプライチェーン、もしくは(b)経済論理もしくは政府からの要請に基づいて、自国に「回帰した」サプライチェーン、の二極化が進む。
- 在庫管理: 在庫に係る費用と供給面の不透明性のバランスを取るべく、特に原材料や素材を提供する川上企業が、効率的で無駄のない「ジャスト・イン・タイム」方式から、多めに在庫を保有する「ジャスト・イン・ケース」方式の在庫管理に移行する。
- 小資本化: 資本を必要とせず、ソフトウェア、研究開発、データ、知的財産を中心としたテクノロジーの比重が高いビジネスモデルである「小資本企業」への流れが一気に加速する。
- 商業用不動産: 「生活する、働く、遊ぶ」といった都市のコミュニティモデル、ギグエコノミー(非正規雇用が企業から単発または短期の仕事を請け負う労働環境)を活性化させるコワーキング・オフィス空間、電子商取引やインターネット販売の次の波を支えるのに必要な物流や倉庫空間などに関する考え方が見直される。
新型コロナウイルスの世界的流行は依然として猛威を振るっており、このような段階において推論することには大きな不確実性を伴うと認めざるを得ない。しかしながら、外出制限がもたらす⻑期的な構造変化と短期的な混乱とを分けて考えることが出来れば、投資家は経済活動再開後の投資機会を享受し、リスクを抑制することが可能となるであろう。
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