インベストメント・リサーチ

米国シニアハウジングの投資機会を検証する

2025年9月26日


なぜ今、シニアハウジングに注目すべきなのでしょうか?第1に、コロナ禍で一時的に落ち込んだ入居率は既に回復しています。第2に、米国では高齢化が急速に進んでおり、今後20年間でシニアハウジングの需要が大きく伸びると予想されています。第3に、現在の価格は手頃で購入しやすい水準にあり、堅調な需要が見られています。第4に、コストへの圧力が緩和されつつあり、純営業収益の回復がさらに後押しされています。最後に、現在の価格水準には、今後の力強い成長見通しが十分に反映されていないと考えられます。こうした状況を踏まえると、長期的な視点で見たときに、非常に魅力的なエントリーポイントが訪れていると考えられます。

こうした中、米国シニアハウジングへの投資が妥当であるとことを裏付ける4つの要因があると考えられます。1つ目は、「高齢者人口の増加と高齢者の支払い能力の向上」です。80歳以上の人口は、今後10年で50%増える見込みです。また、高齢者の資産や収入が増えており、入居費を支払える世帯が増加しています。2つ目は、「供給の鈍化」です。建設コストの高騰や人手不足の影響で、新規供給が不足しています。3つ目は、「適切なリスク管理によってアウトパフォームする可能性」です。物件の差別化とコスト管理に基づき、アウトパフォームする可能性があります。キャップレートは6.8%と過去12年で最も高く、リスク・プレミアムも拡大しています。そして4つ目は、「魅力的な利回りとインカム収入の成長見通し」です。現在のキャップレートは、集合住宅との比較による過去のリスク・プレミアムの推定値と今後の力強い成長見通しに基づいて導き出される最終的なキャップレートの予想値よりも、約80bps高い水準にあると試算されます。

PGIMの試算によると、バイ・アンド・ホールド投資におけるシニアハウジングの内部収益率は9.5〜10.5%と高水準である一方で、伝統的な不動産セクターである集合住宅よりも150ベーシスポイント以上高い利回りで取引されており、米国10年債とのスプレッド較差も252ベーシスポイントと非常に魅力的な水準にあります。

一方で、リスクも存在しています。市場が縮小する局面では流動性が低下し、売却が難しくなる可能性があります。また、シニアハウジングは運営コストに占める人件費の割合が高いなど、運営ノウハウに関する専門知識が非常に重要となります。加えて、財務レバレッジを活用すると、良好な投資パフォーマンスの実現のために必要な最低入居率が押し上がり、パフォーマンスが悪化する可能性もあります。さらに、テクノロジーの進化によって日常の生活動作における課題が軽減され、自宅で老後を過ごす高齢者が増加するかもしれません。しかし、こうしたリスクを理解し、適切に管理することでアウトパフォームする機会も十分にあると考えられます。


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PGIMJ122616 4847211-20250925