米シリコンバレー銀行の経営破綻や3月に発表された米雇用統計を受けて米長期金利が大幅低下したことに加え、日銀が10日に金融政策を据え置いたことなどを背景に、国内債券は買い戻しが進み、長期金利は2カ月半ぶりの低水準となっている。4月から、いよいよ次期日銀総裁として植田氏が就任するが、今回のレポートでは、植田氏による日銀新体制においてどのような金融政策が採られるのかを考察してみる。
これまでと何が変わるのか
これまでの金融政策は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」と呼ばれるが、その政策姿勢においては、「マネタリーベースを増やせばインフレになる」といった決定論的立場が取られている。しかし、植田新体制では、この決定論的立場から政策効果と副作用を確率的に捉える確率論的立場へと修正することが予想される。つまり、マイナス金利、イールド・カーブ・コントロール、量的緩和、質的緩和の政策手段を点検し、効果と副作用のバランスを再評価することになるだろう。その中でも、イールド・カーブ・コントロールに対するアクションが効果と副作用を計る観点で特に注目される。
イールド・カーブ・コントロールは、10年国債利回りを、0%を中心に上下一定の変動幅に収める政策で、昨年12月に変動許容幅を±25bpsから±50bpsに拡大した。それでもなお、市場の10年前後の金利水準から想定する10年国債利回りの適正値は0.5%を超えており、イールドカーブは10年近傍で大きく歪み、イールド・カーブ・コントロールの運営上の限界が指摘されている。従って、市場は、イールド・カーブ・コントロールの修正ないしは撤廃による効果として金融政策を柔軟で持続可能な政策に変更できることを期待してはいるが、突然の金利上昇という出口のコストへの懸念も同時に高まっている。
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