- 9月19-20日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)における米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長のメッセージは、「Higher for longer(より高く、より長く)」を明確に伝えることだったと見られる。公表されたドットチャートでは、2024年末時点の金利見通しが前回から0.5%引き上げられ、2023年~2024年の経済成長および失業率の見通しが上方修正されたが、これらは今回のメッセージを印象付けるものである。
- 「Higher(より高く)」は必ずしも追加利上げを意味しない。ドットチャートは2023年内の1回の追加利上げを示唆するものだったが、会合後の記者会見においてパウエル議長は利上げについて踏み込んだ発言を行わなかった。こうした中、PGIMフィクスト・インカムでは今回の利上げサイクルは終了したとの考えを維持している。
- また、初めて公表された2026年末時点の金利見通しが、依然として長期平均の2.5%を上回ったことは注目に値する。これには、高い金利水準が長期にわたって維持されることを市場に認識させ、今後は長期平均が2.5%を上回る可能性があることを示唆するといった2つの目的があると考えられる。長期金利見通し関して、最も高い水準を支持する上位5人の平均値は前回の3.075%から3.45%に引き上がり、タカ派的なメンバーはよりタカ派姿勢を強めている。
- 前回の声明文で「力強い」と表現された労働市場は、今回の声明文では「鈍化したが依然として力強い」と修正された。こうしたことからも、労働市場の減速を無視することが難しくなったことは明らかであり、労働市場の継続的な減速によって、FRBは2024年に予定通り利下げを実施するとPGIMフィクスト・インカムは考えている。
- 今回のFOMCを受け、米国2年債利回りは10bps超上昇した一方、30年債利回りはほぼ横ばいとなり、2年債と30年債の逆イールドはさらに8bps拡大した。また、リスク資産市場では信用スプレッドが拡大し、株価は下落した。
- FRBの利上げサイクル終了が明確になるまでは、金利には幾分の上昇圧力がかかると思われる。しかし、利上げサイクルの終了は近いこと、今回の反応として短期債利回りの上昇が長期金利に大きな影響を及ぼさなかったことを考慮すると、利回り上昇を巡るリスクは限定的だと考えられる。リスク資産については、過去数ヵ月で株価が3%下落している一方で信用スプレッドは年初来で最もタイトな水準にあり、FRBのタカ派姿勢はクレジット市場よりも株式市場にとってリスクになると考えられる。
- より長期的には、利上げサイクルの大部分は既に過去のものとなり、新たな高利回り環境へと回帰していることを踏まえると、今後数四半期あるいは数年にわたって非常に良好なリターンが期待できるとPGIMフィクスト・インカムは考えている。
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