気候変動の波を掻い潜る
2021年2月15日
100世紀にもわたって比較的安定を保ってきた我々の惑星の気候が変動している。気候変動は遠い将来に発生することが予想される出来事ではなく、検証することも可能な現在進行中の現象である。
100世紀にもわたって比較的安定を保ってきた我々の惑星の気候が変動している。気候変動は遠い将来に発生することが予想される出来事ではなく、検証することも可能な現在進行中の現象である。長期的な展望に関しては大きな不確実性が伴うものの、実際には今後20年で気候がどのように推移するか概ね確定している。この時間軸は大半の⻑期的な運用を行う投資家にとって、一般的なものある。
皮肉なことに、気候が今後どのように推移するかについては極めて確実性が高いものの、気候変動によってもたらされる機会と取り組むべき課題について模索する長期的な投資家にとって、これが非常に大きな不確実性となって立ちはだかっている。これにはさまざまな理由がある。1つ目は、気候変動によって、より極端で不安定な気象がもたらされることが最も確実視されているものの、その正確な時期と深刻度が不透明であることだ。2つ目は、気候変動が及ぼす外的影響、テールリスク、および非線形な脆弱性がいつ市場価格に完全に織り込まれるかを予測することが難しい点だ。そして3つ目として、気候変動に対する規制当局、政府、および社会の対応が依然として不透明である点が挙げられる。足元で気候変動を巡る議論が行なわれている政治の場においても見解が両極化していることを踏まえると、なおさら不透明感が強い。
こうした不確実性に関わらず、長期的な運用を行う投資家にとって気候変動は最も重要な構造的変化の1つであると我々は考えている。気候変動が投資家に及ぼす影響は、それぞれの投資家がポートフォリオに潜む脆弱性を特定し、軽減できるかどうかによって決定づけられる。それと同様に、低炭素社会への移行を促進する画期的かつ革新的なテクノロジーによっても左右される。
気候に関する実行可能な投資方針を策定するにあたり、我々はPGIMグループの債券、株式、不動産、プライベート・デット、オルタナティブ資産の各運用部門から45名を超える運用責任者の知見を集め、また30名を超える著名な研究者やエコノミスト、政策立案者、科学者、気候変動に関心を持つ投資家を対象にインタビューを行なった。更に、気候変動を巡る機関投資家の現在の投資行動と将来の抱負について理解を深めるべく、世界的な100余りの機関投資家を対象に新たな独自の調査も実施した。
2020年、新型コロナウイルスによってもたらされた人道的および経済的な惨状によって、標準的なリスクモデルでは容易に説明できない、発生のタイミングが予測不可能な非線形のリスクに対する投資家の脆弱性が浮き彫りになった。気候変動は、徐々に燃え広がりつつある危機であり、今後10年にわたって投資家のリスクと機会を根底から変えるものである。気候変動によって、世界経済、様々な市場、そして投資環境は破壊された上で再生される可能性があることを理解することで、投資家はこの先数十年を上手く切り抜ける態勢を整えることが出来ると我々は考えている。
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留意事項 1
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