- 米連邦準備制度理事会(FRB)は、9月20-21日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)で予想通り75bpsの利上げを決定し、政策金利の最終到達点の見通しは4.6%に上方修正された。また、8月のCPIが予想を上回ったことから、年末までに更に125bpsの利上げを行う意向が示され、FRBのタカ派姿勢は予想を上回った。これは、年末までに政策金利が4.4%に達することを意味するものであり、今後3ヵ月で最終到達点に近い金利水準に到達することになる。
- 同時に発表された経済見通しでは、2022年の対前年比実質GDP成長率見通しが0.2%、2023年は潜在成長率を下回る1.2%に下方修正された。インフレ見通しに関しては、2022年の総合インフレ率が5.4%、2023年が2.8%に小幅に上方修正された。一方、失業率は2023年に4.4%にまで上昇するとの予想が発表された。
- インフレ見通しは依然として不透明だが、これまでのFRBの大幅な金融引き締めの影響から住宅価格と賃料の伸びが鈍化しているほか、コロナ禍に対応するための経済対策で積み上がった家計貯蓄も減少傾向にあり、インフレはピークアウトする兆候が見られ始めている。金融政策の効果は遅れて現れることから、行き過ぎた金融引き締めによって景気後退がもたらされるリスクが高まっている。PGIMフィクスト・インカムは、政策金利は2023年初に4.25%-4.5%でピークを打ち、その後は利下げに転じることを基本シナリオとしている。
- 今回のFOMC後の発表を踏まえ、PGIMフィクスト・インカムでは次の4つが重要なポイントだと考えている。
- ポイント1:過去数週間で短期金利が急上昇した一方、長期金利は6月中旬以降横ばいで推移している。また、今回の発表を受けてブレークイーブン・インフレ率も若干ながら低下した。これは、FRBがインフレ抑制に成功するとの市場予測を反映したものであり、足元の長期金利は既にピーク水準に達している可能性がある。
- ポイント2:足元、米国債の短期ゾーンはFRBの利上げを概ね織り込んでいると見られるが、インフレが十分に抑制されない中、短期ゾーンでは国債利回りが更に上昇する可能性がある。
- ポイント3:今回のFOMCを受けて、株式やクレジット債券などのリスク資産は軟化したものの、6月の最悪期の水準までは下落していない。これは、現時点において経済がハードランディングする確率は6月時点よりも低いと市場参加者が見ていることを示唆しており、市場のリスク選好は安定に向かう可能性がある。
- ポイント4:通貨については、米国とその他地域のインフレ、金融引締め、景気減速の状況の違いから、米ドル高基調に変化は見られていない。
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