- 市場の予想通り、9月8日の理事会で欧州中央銀行(ECB)は75bpsの利上げを決定した。また、インフレ見通しが大幅に上方修正され、需要を抑制してインフレ率を目標水準に回帰させるためには中立を上回る水準まで政策金利を引き上げる必要性のあることが示唆された。併せて発表された2023年のGDP成長率見通しは0.9%に下方修正されたが、エネルギー危機や景気後退リスクを考慮すれば達成が困難だと考えられ、PGIMフィクスト・インカムでは1.4%のマイナス成長になると予想している。
- ラガルド総裁は、インフレが高止まる一方で経済活動が著しく悪化する場合の政策対応に引きずられることなく、供給面の問題が更に悪化した場合であっても、物価安定を使命として金融引き締め路線を維持することを示唆した。供給が制限される中で冬場には更なる需要の高まりが予想されることから、PGIMフィクスト・インカムはECBの利上げ見通しを上方修正した。政策金利は、少なくとも年末までに1.5%に達し、2.0%をやや上回る水準でピークを打つと見ており、これはPGIMフィクスト・インカムが想定する中立水準の上限である。
- ECBのタカ派姿勢を受け、為替市場の反応は乏しかった一方で、ドイツ国債の利回りは上昇して金利カーブはフラット化した。特筆すべきは欧州のリスク資産市場の堅調さであり、欧州社債および周縁国債のスプレッドは縮小し、欧州株式市場は底堅い推移を見せた。これは、インフレ抑制に取り組む中央銀行としてのECBの信頼性が回復したとの見方を裏付けるものである。政府預金に対する0%の金利上限を一時的に撤廃し、付利の開始を決定したこともECBの信頼性を高めると考えられる。付利の上限を一時的にユーロシステムの預金ファシリティ金利(DFR)またはユーロ短期金利(ESTR)の低い方とすることで政府預金からの急激な国債市場への資金流入を回避することができ、金利が上昇した場合にも金融政策の伝達メカニズムの有効性を確保できる。
- 今後を見据えると、インフレが高止まりし、経済成長が鈍化する中での金融引き締めは、リスク資産にとって逆風となる。現時点で市場は底堅い推移を見せているが、これにはスタグフレーションに陥るリスクが十分に織り込まれていないように見受けられる。ECBが金融引き締めを進める一方で、経済と企業のファンダメンタルズは軟化しており、今後の投資環境を巡る見通しは引き続き不確実性を伴う。
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