- 米連邦準備制度理事会(FRB)は12月13-14日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)で50bpsの利上げを決定し、インフレ鈍化の兆しが見られ始める中、よりハト派に向かうとの市場の期待を後退させた。FRBは経済予測の中で更なるGDP成長率の鈍化と失業率の悪化を示すとともに、政策金利の最終到達点見通しを5.1%に上方修正し、長期に亘って高い水準を維持するとのタカ派姿勢を示した。
- パウエル議長は記者会見において、FRBが「物価の安定」と「完全雇用の達成」という2つの使命を果たすに当たり、これまでは利上げペースを最も重要視したが、今後は利上げのピーク水準を維持する期間が最も重要になると説明した。FRBは、住居費を除くサービス価格をはじめとする経済指標を重視してきたことを考慮すれば、今後のFF金利見通しは主要経済指標に大きく左右される不安定なものとなるだろう。
- こうした中、世界経済の減速に遅行してインフレ率低下の確信度が高まり、各国中央銀行が長期に亘って制約的な金融政策を維持することによって、世界的な景気後退に陥るのではないかとの重要な疑問が生じる。しかし対照的に、楽観的な見方をすれば、市場予想を上回る11月米CPIの鈍化を、ソフトランディングへの道筋が結局それほど狭くないことを示す兆候であるとも捉えることもできる。
- 今回のFOMCを踏まえた市場のFF金利予想は、FRBの見通しよりも過度にハト派的であり、FRBが今後もタカ派姿勢に傾斜することを踏まえると、金利には上昇圧力がかかり、イールドカーブはスティープ化することが予想される。さらに、FRBは引き締まった金融環境を維持したいとの意向であり、これによって市場のリスク選好が低下する可能性が高いと見られる。
- 一方、FRBが政策金利の見通しを上方修正したにも拘わらず、米国の長期金利は前日比で低下して取引を終えた。長期の期待インフレ率を見ると、既にFRBのインフレ目標である2%近辺で推移する中で更に5bps程度低下している。これは、FRBの2%目標達成に対する市場の信頼を示すものであり、金利低下もこれを反映したものだと考えられる。
- ともあれ、FRBが利上げペースを緩め、より慎重な利上げ路線に移行することで、ソフトランディングの確率を高めていることに市場は安堵している。これまで400bps以上の利上げが実施されたことを踏まえると、パウエル議長が「より緩やかに、慎重に」と発言しているように、今後FRB当局は、これまでの金融引き締めの効果を見極めつつ慎重な政策対応をすべきだと考えている。
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