- 3月21-22日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)は市場予想に沿った内容であった。米連邦準備制度理事会(FRB)は25bpsの利上げを決定する一方、声明文からは「継続的な利上げが適切」との文言が削除され、代わりに「幾分の追加的な金融引き締めが適切かもしれない」との文言が採用されるなど、ハト派姿勢も示された。
- FOMCによる政策金利の最終到達点の見通しは5.25%に据え置かれ、利上げサイクルが終了に近づいていることが示唆された。また、パウエル議長も、今回の会合で利上げ停止について議論したことを認めている。加えて、声明文では、パウエル議長が記者会見で強調したように、銀行セクターにおけるストレスは、経済成長、労働市場、そしてインフレの抑制要因となること、すなわち、追加利上げの代替となることが示された。
- 一方、銀行セクターへの対応を巡ってパウエル議長が「全ての預金者は安全だ」と繰り返し強調したのに対し、ほぼ時を同じくしてイエレン財務長官が「預金保険の上限引き上げは検討していない」と議会で証言したことによって混乱が生じた。中堅銀行の無保険預金に対して政府が明確な支援を行わないようであれば、金融システムへのストレスが継続、さらには悪化する恐れがある。
- これらを踏まえて、PGIMフィクスト・インカムは、今回の利上げが当面最後になる可能性があると考える。また、足元の銀行セクターに対する不安は長期化すると見込まれることから、FRBは2023年末までに50-75bpsの利下げを余儀なくされると予想する。
- リスク資産市場は当初、パウエル議長のダウンサイドリスクを政策評価に考慮する姿勢を好感したものの、イエレン財務長官が包括的な預金保護に否定的な見解を示すと、楽観的な見方が後退した。これを受けて株価は下落し、信用スプレッドは拡大した。一方、米国債市場では年限を問わずに利回りが低下した。また、FRBが少なくとも当面は経済成長に配慮する姿勢を示したことから、短期金利の低下が金利カーブのスティーブ化を牽引した。
- 今後に目を向けると、市場は経済指標やイベントの動向に左右されると考えられる。FRBは緩和的な金融政策を取ることで銀行セクターのストレスを軽減する余地が限られることを踏まえれば、高成長と高インフレが維持される場合、リスク資産市場は逆風に晒される可能性がある。逆に、今後の信用縮小を考慮すれば成長率とインフレ率が鈍化することも考えられ、この場合には利上げサイクル終了に対する期待感が高まるほか、銀行セクターが安定するための時間的猶予も生まれるだろう。
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