予想されていた通り、連邦準備制度理事会(FRB)は12月15日~16日に開催された会合において現行の政策スタンスを据え置き、FF金利の誘導目標を現状のゼロ付近の水準に維持した上で、コロナ禍からの経済回復を支援するために量的緩和政策を通じた追加刺激策を実施すると発表した。また、FRBは今回の会合において、量的緩和政策に関するフォワード・ガイダンスを明確化し、今後の資産購入の見通しと景気状況をより密接に関連付けて行くことを確認した。
FRBは、今後のFF金利の誘導目標に関して、経済状況に紐づいたガイダンスを既に採用している。つまり、完全雇用が達成され、「インフレ率が 2 %にまで上昇し、当面はそれを適度に上回って推移していると判断される」までは、FF金利の誘導目標を現在の水準に維持するというものである。今回の会合では、FRBは資産購入に関しても同様に経済状況に結びついたガイダンスを採用し、「FOMCが見込む雇用の最大化と物価安定に向けてさらなる大きな前進を遂げるまでは、米国債の保有を少なくとも月800億米ドル、MBSの保有を少なくとも月400億米ドルのペースで引き続き購入し続ける」こととした。FRBは、経済状況について「さらなる大きな前進」という曖昧な表現を使うことで柔軟な政策対応の余地を持たせた(これにより、FRBが利上げを検討する前に、資産購入額を徐々に減少させることが可能になると我々は考えている)が、それと同時に、少なくとも今後どの程度の規模の資産購入を行うのかを明確にする上で非常に具体的な内容であった。
FRBは12月に開催した会合において最新の経済見通しを発表した。失業率はこれまでの予測よりも速いペースで改善することが見込まれ、2021年末には5%、2022年末には4.2%(これはFRBが推定する完全雇用にほぼ等しい)に達するなど、今後数年間の景気動向についてより楽観的な見方が示された。しかし、インフレ率に関しては、今後数年にわたってFF金利の誘導目標が現行水準に据え置かれる見通しであるにもかかわらず、少なくとも今後2年間はFRBの目標である2%を下回ると予測されている。
しかし、FRBのパウエル議長は、短期的な経済見通しに関してはより慎重な姿勢を示した。新型コロナウイルスの感染者数は米国の大半の地域で急増しており、2020年末に向けて経済成長が鈍化する中、引き続きFRBの緩和政策が極めて重要となっている。一方で、パウエル議長は、例えば住宅市場などのような金利に敏感なセクターは、既にFRBの緩和的な政策スタンスに力強い反応を見せていると指摘した。他の経済セクターにおいても大幅な改善が見られるかどうかは、ワクチン接種の状況次第となるだろう。パウエル議長は、今後数カ月にわたってワクチンが行き渡るまでの間、家計やコロナ禍によって特に大きな打撃を受けた企業を支援するため、追加的な財政政策を実施する用意があることを改めて表明した。実際に米国議会では、追加的な支援策の成立に向けた議論に今週は進展が見られた。
債券にとっての2つのプラス材料
皮肉なことに、完全雇用および2%のインフレ目標を達成するというFRBの決意(これらは、債券市場に対する下げ圧力になると思われる)は、2つの側面から債券市場にとってプラス材料となる可能性が高い。第1に、こうした目標を達成するために、FRBは、現在イールドカーブに織り込まれているよりもかなり長期にわたって、金利を低く抑えようとする可能性が高い。我々の見解では、過去数カ月にわたって米国長期債の利回りが上昇したことにより、絶対収益という観点のみならず、他の先進国債券の利回りに対する相対的な収益という観点からも、米国債の利回りは魅力的な水準となっている。
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