欧州中央銀行(ECB)、銀行システムを下支えするための追加的な政策を発表
2020年5月7日
新型コロナウイルスの世界的な流行が経済におよぼす影響を軽減させるための更なる取り組みとして、4月30日に欧州中央銀行(ECB)は追加的な緩和政策の実施を決定した。今回の緩和政策は、主として銀行を対象とした大幅な流動性の供給および既存の流動性供給プログラムの更なる条件緩和を柱としている。
新型コロナウイルスの世界的な流行が経済におよぼす影響を軽減させるための更なる取り組みとして、4 月30 日に欧州中央銀行(ECB)は追加的な緩和政策の実施を決定した。今回の緩和政策は、主として銀行を対象とした大幅な流動性の供給および既存の流動性供給プログラムの更なる条件緩和を柱としている。実務的に見れば、こうした施策は利下げと同等の意味を持つ。ECB 理事会は、現段階においては量的緩和政策を現状のまま据え置いたが、ラガルドECB総裁は、必要に応じて「拡大する用意がある」ことを殊更に主張した。しかし、社債購入プログラムに”フォールン・エンジェル(堕天使)債”を含めないという今回の決定は、一部の投資家にとっては期待外れだった可能性がある。
同日には、ユーロ圏の第1 四半期の経済活動が急激に縮小したことが発表され、これを受けて欧州のSTOXX 600 インデックスは2.0%下落、ドイツ10 年債利回りは9 bps 下落して-0.59%、イタリア10 年債利回りは3 bps 上昇して1.76%、ユーロは米ドルに対して約0.50%安となった。
4 月30 日に発表された最も重要な政策は、パンデミック緊急長期資金供給オペレーション(PELTROs)と呼ばれる追加的な流動性供給プログラムであり、全額割当および定率方式による一連の7 件のリファイナンス・オペが5 月に開始される。これは、銀行による足元の担保緩和措置の活用を促すことを意図したプログラムであり、投資適格の担保を十分に持たない銀行の借り換えを容易にすることを目的としている。
このような点からも、これら政策は、景気後退の深刻化に伴う銀行の資産内容悪化が懸念されていることを示唆するものであり、大幅に担保が格下げされるような場合には、速やかにその枠組みを拡大させることが可能なプラットフォームを提供するものでもある。こうした政策はまた、銀行が貸出をするためにさらなる支援を必要としていることを示している。新柄コロナウイルス終息後のイタリアの政策運営についてより多くのことが明らかになるまで、格付会社はイタリア国債の格付を据え置いたものの、言うまでもなく、依然として同国の情勢には注目が集まっている。
PELTRO の貸付金利は、現行の政策金利よりも25 bps 低く設定されている。ただし、既存の流動性供給プログラムであるTLTROIII の条件緩和が4 月30 日に決定されたことでも明らかなように、この金利は恐らく容易に引き下げられる可能性がある。TLTROIII の貸付金利は、今回の条件緩和を受けて今や-1%にまで低下しており、ECB は銀行に対して大盤振る舞いしていると言える。
明らかに、ECB は信用市場の目詰まりを防ぐことを重視している。この目的を達成するためには、投資不適格の資産を担保とした貸付とマイナス金利で大規模な流動性を供給することを組み合わせることが非常に有効的な手段となるに違いない。しかしながら、実効金利面での助成にもかかわら
ず、企業が支払い不能に陥ることを懸念して銀行の貸出意欲が減退する可能性がある。もちろん、こうしたリスクは、今やユーロ圏全域において常
用策となった信用保証を通じて対処されることになるだろう。
しかし、最も重要なことは、ECB が「拡大する用意がある」と考えていることである。記者会見の答弁において、ラガルド総裁はあからさまにイールドカーブ・コントロールの話題を避けたものの、ECB による資産購入と国債の大量発行ニーズを限りなく結び付けたコメントがあった。これに関連して、ラガルド総裁は改めてECB が「さらに拡大する用意がある」ことを強調し、当面にわたって財政赤字およびこれに関連する資金需要が引き続き大きなものとなるであろうことを認めた上で、7,500 億ユーロ規模のECB のパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)が、当初想定されていた期限を超えて2021 来年末まで延長される可能性があることをそれとなく示唆した。
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