- 6月13-14日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)で、予想通り米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを見送った。一方、最新の「経済見通し」では2023年内の更なる50bps利上げを示唆し、PGIMフィクスト・インカムの予想以上にタカ派姿勢が強調された。今回の決定は、FRBが複数の政策ツールを用いて複数の目的を達成しようとしていると解釈できる。
- FRBが利上げを見送った背景には、銀行危機と信用収縮が実体経済に及ぼす影響を評価する時間を確保したいとの思惑があったと見られる。利上げ見送りとタカ派的な経済見通しの組み合わせは、今回の決定が利上げ停止を決定付けるとの誤った印象を正す意図があったと思われる。FRBは銀行危機が波及していかなければ、現状の政策はインフレ目標を達成するのに十分制約的でないことを示唆している。
- 利上げの最終到達点をより制約的な水準まで引き上げることによって、FRBが回避しようとするリスクシナリオが引き起こされる可能性が高まるが、FRBは利上げのピーク水準を50bps引き上げるとともに、2024年の100bps利下げを示唆した。その代わりに、2023年の追加利上げを25bpsにとどめ、2024年により小幅な利下げを示唆する、といったよりリスクの小さい選択肢もあったはずである。
- FOMC参加者18人のうち12人が、少なくとも今年中の50bpsの追加利上げを予想していることを踏まえ、PGIMフィクスト・インカムは引き続き7月に25bpsの利上げを予想している。しかし、9月にはインフレ圧力が緩和され、それ以降年末にかけては政策金利が据え置かれると予想する。
- 2023年末のドットチャートが50bps引き上げられたことは市場にとってタカ派サプライズとなり、短期国債の利回りは上昇した。一方、FRBによるインフレ抑制への信頼感が高まり、長期国債の利回りは低下して米国2年債と30年債の逆イールドは深まった。今後は、5%を上回る政策金利とFRBのタカ派バイアスを背景に、利回りが4%を下回る長期国債への関心が低下すると予想され、国債利回りにある程度の上昇圧力がかかると考えられる。
- リスク資産市場の反応はまちまちとなったが、2022年半ば以降FRBが利上げペースを鈍化させるとともに、概して信用スプレッドは安定推移している。今後利上げが再開されるとしても、そのペースは更に減速する可能性が高い中、①利上げサイクル終了を見据えた債券への関心の高まり、②利上げペース減速を背景にハードランディングの発生確率の低下といった2つの要因が引き続き信用スプレッドの支援材料になると思われる。
- 2023年中にFRBの利上げサイクルが終了すると考えられる中、長期金利の上昇圧力はリスク選好の高まりと信用スプレッドの縮小によって相殺され、債券市場にとって良好な環境がもたらされる可能性があるとPGIMフィクスト・インカムは考えている。
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