- 1/26に終了したFOMCにおいて、FRBは、テーパリングが完了する3月にも利上げを実施する用意があり、また今年後半の量的引き締め(QT)開始も視野に入れていることを示唆した。但し、今後の金融引き締めは、成長率とインフレ率の動向に大きく左右されるものとなるだろう。経済が十分に回復する前での積極的な引き締めは意図されていない中、新型コロナウイルスの感染拡大状況、財政刺激策縮小の影響、供給面の混乱の緩和状況、地政学的リスクの高まりなどが今後のFRBの政策決定を複雑にする可能性がある。
- FRBが金融市場の過度な混乱を避けたいと考えていることは明らかで、今サイクルにおけるQT開始の際の道筋も予想に反して示唆された。前回よりも早期にQT開始となる可能性はあるものの、それまでにFRBはFF金利を0.75%付近にまで引き上げている可能性が高いとPGIMフィクスト・インカムは考えている。これは、前回のQT開始時点のFF金利1.0%-1.25%を僅かに下回る水準である。PGIMフィクスト・インカムでは、FRBが今年中に合計3回の利上げを実施し、2022年後半にQTを開始することを引き続き基本シナリオとしている。
- FRBの発表を受けて株価は下落、スプレッドは拡大したものの、週明けの時点よりは良好な水準にある。これは、既に市場には今後の金融引き締めが十分に織り込まれ、FRBがその道筋を示したことによって今後は市場が安定的に推移する可能性があることを示唆している。また、パウエル議長は、状況に応じた政策の柔軟性も示しており、これは闇雲に金融引き締めを続けた前回サイクルとは大きく異なる。
- 米国国債の金利カーブはベアフラット化し、短期金利が大きく上昇した。一方で、30年債利回りは2021年春の水準を大きく下回り、FRBのタカ派スタンスへの転換が債券の長期ゾーンでは十分受け入れられていることは注目に値する。更に、5年先5年物ブレークイーブン・インフレ率が示す市場の長期の期待インフレ率に大きな変化はなく、FRBの長期的なインフレ目標である2%近辺で推移している。長期債の利回りと期待インフレ率が安定化し、金利カーブに今後の大幅な利上げが織り込まれたことを踏まえると、今サイクルにおける長期債の利回りはピークに近づきつつあるとPGIMフィクスト・インカムは考えている。(詳しくは「中央銀行はインフレ抑制に政策を転換、一方で債券市場は強気相場に」を参照。)
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