高格付け証券化商品における投資機会を検証する
2023年に証券化商品のスプレッドは縮小し、超過リターンはプラスとなったが、依然としていくつかの不確実性が存在しており、今後の見通しは引き続き不透明な状況にある。
プライベート・エクイティは本質的に流動性の低い資産クラスであり、投資を開始した時点から最終的にポートフォリオで保有する資産を売却するに至るまで、長期にわたってクローズドエンド型ファンドに投資資金が固定される。こうした流動性の問題に対処するため、多くの場合、投資家は戦略的に分散投資を行っている。長期にわたって一貫してプライベート・エクイティ・ファンドのポートフォリオに投資することで、投資家は継続的な分配金を見込むことができ、それをキャピタル・コールに振り向けることも可能となる。こうした手法は、パフォーマンスが低調なファンドの損失を、好調なファンドの利益で相殺するのにも役立つ。さらに、キャピタル・コールと分配金のタイミングおよび規模は同程度となる傾向があり、公開株式市場における分散投資と同様に、個別のリスクを最小限に抑えることができる。
一方、分散投資の努力にもかかわらず、ポートフォリオの構造的なリスクも公開市場と似ている。潮が引けば、船は一斉に沈む。入手可能なデータは限られているが、現在プライベート・エクイティ市場ではこうした現象が起きていることが示唆されている。
例えば、リミテッド・パートナー(LP)に関するデータの収集において定評のあるBurgiss社によると、2023年はキャッシュフローが業界史上最も大幅なマイナスになる可能性が示唆されている。同様に、プライベート・エクイティ・ファンドの分散ポートフォリオである我々のファンド・オブ・ファンズ(FoFs)を検証したところ、2023年の分配金が過去数年に比べて明らかに大幅に減少している。
図表1が示す通り、サンプルとして取り上げた10のFoFsのコミットメントに対する分配金の中央値は、2021年の27%から2022年には14%に縮小し、2023年はわずか7%となっている。こうした分配金の大幅な減少は、多くの投資家にとって不意打ちとなった。その結果、投資家にはこうした状況の変化に対応する必要性が生じ、ファンド・マネージャーに資産を売却するよう強制することはできない中で、投資家自身が保有するファンドの売却を模索することが唯一の選択肢となる。
モンタナ・キャピタル・パートナーズが実施した年次の投資家調査によると、投資家の4分の1以上が流動性の問題を理由としてプライベート・エクイティの一部売却を検討していると回答した。こうした回答を行った投資家の数は、2021年と比較して160%増加した。
こうした流動性を求める動きによって、LPセカンダリー投資に対する関心が再燃している。過去10年間、ファンド・マネージャーが様々な形で流動性オプションを提供するGP投資が選好され、LP投資は着実に減少した。しかし、こうした傾向は2021年以降に逆転し始めた。図表3からも明らかなように、2020年と2021年にはGP投資が市場の過半を占めていたが、2022年と2023年になると再びLP投資が過半を占めるようになっている。
レポートを読む
2023年に証券化商品のスプレッドは縮小し、超過リターンはプラスとなったが、依然としていくつかの不確実性が存在しており、今後の見通しは引き続き不透明な状況にある。
米国をはじめとして景気後退リスクが下方修正され、いわゆる「ソフトランディング」を予想する声が頻繁に聞かれるようになった。不動産にとってこれは、賃料成長の回復が投資機会をもたらし、投資見通しがこれまでの想定より改善することを意味する。
2022年に「目覚ましいリターン」を上げた多くのトレンド・フォローおよびマクロ戦略にとり2023年の状況は一変し、2022年との対比だけでなく長期的なパフォーマンス実績と比較しても概して低調なパフォーマンスとなった。
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長期にわたるシステマティック投資戦略のパフォーマンス低迷は、クオンツ運用にとどめを刺すものだと広く考えられた。しかし、クオンツ株式 戦略は現在も健在であるだけでなく、今も変化し続ける投資家の課題に対処し得る貴重な役割を担っている。
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