2023年1-3月期の株式市場は、引き続き堅調な労働市場を背景とした力強い個人消費が牽引役となり、概ね良好なパフォーマンスとなった。昨年末と比較して、商品価格が下落、サプライチェーンの混乱は緩和、輸送費は下落しており、これら全てが好ましい状況にある。
連邦準備制度理事会(FRB)は、2月と3月に25bpsの利上げを行い、金融引き締めペースを減速させた。FRBが金融引締めに転じてからの1年間で、FF金利の誘導目標は0.25%-0.50%から4.75%-5.00%に上昇した。これは、物価安定を回復するFRBの確固たる姿勢を反映したものである。米国10年債の利回りは、ほぼ昨年末の水準で当四半期末を迎えた。
3月上旬、資産規模で米国第16位の銀行であるシリコンバレーバンク(SVB)が経営破綻したが、これは過去10年で最大の銀行破綻となった。信用不安に端を発した2008年9月のリーマン・ブラザーズの経営破綻とは異なり、SVBの経営破綻は、同行が予想外の自己資本調達を表明したことによる預金の急激かつ大規模な流出が原因であった。金利の急上昇により債券価格が下落した米国債などの含み損により、SVBは自己資本不足に陥った。結果として、SVBやバランスシートに同様の問題を抱えるその他大手銀行の信用が急墜し、これが預金の流出につながった。こうした預金流出は、2008年9月の世界金融危機以降目覚ましく発展した電子資金移動やソーシャルメディアの普及によって助長された。SVBその他の銀行の経営破綻により、「グローバルなシステム上重要な銀行(GSIB)」に指定された大手銀行と、そうではない地方銀行との間の規制の枠組みやバランスシートの構造の違いが浮き彫りになった。
信用危機の拡大を防ぐために当局は迅速に行動し、経営不振に陥っていたSVBとシグネチャー・バンクを事業停止としつつ、米国国債やMBSを担保に融資を行う銀行ターム・ファンディング・プログラム(BTFP)の導入や、米国連邦預金公社(FDIC)の保証対象外である25万米ドル以上の預金についても全額保護すると発表した。こうした措置によって流動性が強化され、3月末に市場はある程度の落ち着きを取り戻した。また、同時期に発生したUBSによるクレディ・スイス買収によって、米国外の金融機関も脆弱性を抱えていることが再認識された。
その他の地域では、中国政府が「ゼロコロナ」政策を撤回したことを受けて同国の経済活動が回復し、年明けには渡航に関する規制が緩和された。ロシアによるウクライナ侵攻から2月下旬で1年が経過したが、今年の冬が暖冬だったことを背景に、エネルギー供給の途絶が特に北欧にもたらす最悪の事態は回避された。1-3月期には、テクノロジー株とグロース株が牽引役となって、米国株式が大きく上昇し、S&P500®インデックスは7.0%、ラッセル1000グロース・インデックスは14.1%上昇した。
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