マーケット・ビュー

ロシア・ウクライナ紛争、タカ派色を強める各国中央銀行を背景とした不確実な市場環境における投資機会を検証する

2022年3月17日

  • ロシアによるウクライナ侵攻が開始される以前、我々は2022年に世界経済が力強く回復すると予想した。しかし、ウクライナ侵攻が開始されたことで、この予測は見直しを余儀なくされ、エネルギー、食料品、コモディティ価格の上昇を通じて更なるインフレ圧力が高まっている。但し、短期的な期待インフレ率が急騰する一方で、長期的な期待インフレ率は比較的抑制されており、市場は中央銀行による金融引き締めによってインフレが鎮静化すると考えていると見られる。
  • ウクライナ侵攻を巡り、PGIMフィクスト・インカムでは次の3つのシナリオを想定している。これらのシナリオは、投資家が極めて不確実性の高い市場環境に直面し、債券市場は双方向のリスクを孕んでいることを示している。
    • 紛争の早期終結:中央銀行は経済をソフトランディングさせるべく金融引き締めを進める。
    • 紛争の長期化、但しエネルギー供給に混乱は生じない:FRBが金融引き締めを進める一方で、ECBは地政学リスクやエネルギー供給の不透明感に配慮し、積極的な金融引き締めは行わない。
    • ロシアからのエネルギー供給が途絶:インフレが経済成長に打撃を与え、中央銀行は金融引き締めに慎重になる。また、ECBは社債や周縁国債のスプレッドを抑制すべく、債券市場への介入を余儀なくされる。
  • こうした状況においては、ディレクショナルな投資よりもテーマに沿った投資が有効だと考えられる。1つ目の投資テーマは「国/地域間の格差」である。相対的に高い成長率とインフレが続く米国は、紛争の長期化というダウンサイドに対して非対称となり得る。一方、そのような状況下では、ECBは分断化リスクを避けるため、ハト派姿勢に転じる可能性がある。これを踏まえると、欧州の周縁国債はリスク/リターンの観点から投資妙味があると考える。また、欧州社債と米国社債のスプレッド較差も投資適格債/ハイイールド債を問わずに拡大している。投資適格債は景気後退時においてECBにより優先的に支援される可能性があることから、投資妙味があると考えられる。
  • 2つ目の投資テーマは「資産クラス間の格差」である。相対的に流動性に優れ、アウトパフォームを続ける高格付のCMBSやCLOついては、魅力的な社債やソブリン債との選別的な入れ替えを行う機会が生じる可能性がある。また、金利上昇を巡る懸念からも投資機会が生じている。変動利付債への需要を背景に堅調なバンクローンに対して、ハイイールド社債はここ数週間にわたる資金流出を背景に下落が続いている。このように、ローンから債券への入れ替えによる追加的なスプレッド獲得の機会が生じている。
  • 3つ目の投資テーマは「ボトムアップ分析に基づく投資機会」である。コモディティ価格の上昇、サプライチェーン・ショックの中にも十分な投資機会が存在する。特にロシア・ウクライナの輸出量が多いコモディティに関連する、エネルギー、食料品、製造業は直接的な影響を受けるだろう。コロナ禍で既に混乱していたサプライチェーンは、今回の紛争によってさらに深刻化する可能性がある。

 

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