金融政策

ロシアのウクライナ侵攻が欧州経済に大きな影響を及ぼす中、ECBは政策の軌道を修正せず

2022年3月15日

  • 欧州経済がコロナ禍からの力強い回復を見せる中、欧州中央銀行(ECB)は中期的な経済成長やインフレ見通しよりもロシアのウクライナ侵攻を背景とした短期的なインフレ高騰を重視し、金融政策の正常化路線が維持された。
  • ECBが資産購入の縮小を加速させることで、インフレ高進が長期化した際の政策余地を広げる意図があると考えられる。しかし、経済の下振れリスクが顕在化した場合は政策の軌道修正が余儀なくされ、ECBの信頼性が損なわれる可能性もある。我々は、経済が予想通りに推移すれば、資産購入は2022年第3四半期に終了し、2023年から利上げに踏み切る可能性があるとPGIMフィクスト・インカムは考えている。しかし、2023年に経済成長が鈍化した場合、利上げ幅は最小限に留まり、再び長期にわたって目標を下回るインフレ率と経済の低迷がもたらされるリスクがある。
  • 今回のECBの発表によって欧州市場は大きく混乱した。市場参加者が織り込む今後1年間のECBによる利上げ幅は、3月上旬にロシア・ウクライナ紛争が深刻化した際には約30bpsにまで低下していたが、足元では約66bpsに上昇している。
  • ECBによる金融政策の正常化、及びこれに伴う経済成長の下振れリスクは、特に欧州周縁国により大きな影響を及ぼす。こうした国がロシア・ウクライナ紛争によって更に大きな圧力に晒されるようであれば、ECBはハト派姿勢に転じると考えられ、中期的には欧州周縁国の債券が良好なパフォーマンスとなる可能性がある。
  • また、今回の発表を受けて欧州社債のスプレッドも投資適格債/ハイイールド債を問わずに拡大した。特に、欧州投資適格債と米国投資適格債のスプレッド較差が2014年以来の最ワイドな水準にまで拡大する中、投資適格債は景気後退時においてECBにより優先的に支援される可能性があるため、投資妙味があると考えられる。

 

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