金融政策

ECBは柔軟性のある政策対応の重要性を強調し、金融政策の正常化を急がず

2022年4月18日

  • 4月14日に開催されたECB理事会においては、7-9月期における資産購入終了を含めた、今後数か月間にわたる金融政策正常化の道筋が改めて確認され、市場では総じて予想よりもハト派的と受け止められた。
  • ラガルト総裁は、ロシア・ウクライナ紛争を背景とした不確実性に対応するために、柔軟性のある慎重な政策対応を強調した。ECB内の議論は、利上げの開始時期から、どの時点で利上げを停止するかにシフトしている可能性が高いと思われる。これはインフレ期待や賃金といった、今後のマクロ経済指標次第となるだろう。
  • 今回の会合では新しい政策ツールについて言及はなかった一方、欧州の分断リスクについて踏み込んだ発言があった。ラガルド総裁の発言を通じて、この「柔軟性」には、コロナ禍による経済の下押し圧力の緩和だけでなく、金融政策の効果をユーロ圏に隈なく波及させる取組みが含まれると確認されたことは重要である。
  • 足元でECBは、ウクライナ紛争のような国レベルでは対処できない市場ショックに対応する政策ツールの策定に取り組んでいる。これにより金融政策の正常化が進展する可能性はあるが、2023年に向けてマクロ環境が悪化するようであれば、最終的には利上げ幅も限定的なものとなるだろう。
  • 今回の発表を受けて、欧州債券市場では短期金利が小幅に低下する一方、長期金利と期待インフレ率は若干の上昇に転じた。これは、ECBが金融政策の正常化を急がないことに対する安堵感が反映されたものだと考えられる。また、欧州周縁国債のスプレッドは、今後の柔軟性のある慎重な政策対応と政策効果の確実な波及への取組みを踏まえれば、魅力的な水準にある。しかし、ECBが今後2年間で市場予想の200bpsを超える利上げを実施する必要が生じた場合には分断リスクが再燃し、スプレッドが拡大する可能性もある。
  • 今回示された、より辛抱強く慎重な姿勢は為替市場では歓迎されず、ユーロは過去数十年来の最安値近辺まで下落した。ECBが金融政策の正常化を急がない姿勢を示す中、米国との金利差は更に拡大すると見られ、これがユーロにとって逆風になると考えられる。

 

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