経済アップデート

米国債の格下げに対する見方

2023年8月3日

  • フィッチ・レーティングスは8月1日、米国債をAAAからAA+に格下げしたものの、足元まで米国債市場への影響はほぼ見られていない。米国債は、流動性、規模、安全性といった点で、今後も先進国債券市場の中心的な存在であり続けると考えられる。
  • 一方、フィッチ・レーティングスが指摘する通り、米国政府のガバナンスは低下している。1990年代の財政健全化の枠組みは財政黒字とともに後退し、近年では巨額の財政赤字が膨れ上がっている。加えて、より頻繁に政府機関の閉鎖やデフォルトの脅威に晒されるようになった。
  • 米国政府のガバナンス低下は同国の政治的分断を反映しており、グローバル・マクロ経済にとって重要なアンカーの一つが徐々に衰勢しつつあるとPGIMフィクスト・インカムは見ている。こうした政治的分断は、議会における中道派の弱体化、急進派による正統派的政策の減少、政策の信頼低下による制度的衰退などを示唆するものである。また、歳出超過というより根本的問題は解決されておらず、米国の対GDP債務比率は2000年以降に40%から100%以上に上昇し、ほんの10年前までは危険水域と見られていた水準まで悪化している。
  • 米国債の利回りは、財政赤字拡大に伴う国債増発を背景に、上昇圧力に晒されることは避けられないだろう。短期的には大きな変動は見込まれないものの、米国の長期国債利回りは、1990年代には金利スワップレートを30bps超下回っていたが、現在では50bps超上回って推移している。これは債務負担の増加が国債利回りに及ぼす目に見える影響だが、そのペースは少なくとも足元までは非常に緩やかである。
  • 現時点では、米国経済のファンダメンタルズ、インフレ率、および中央銀行の政策が国債利回りの主な決定要因であり、その水準は概ねフェアバリューの範囲内にあると見られる。すなわち、利上げサイクルは最終局面にあり、利回りはピーク水準近辺にあると言える。今般の格下げの有無に拘わらず、米国債券市場に対しては、今後数年に亘って健全なリターンが期待できるとPGIMフィクスト・インカムは見ている。

 

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