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英国新政権に求められる信頼性の回復

2026年7月15日

英国の新首相アンディ・バーナム氏にとって、市場の評価が固まる前に英国の政策運営に対する信認を回復するための時間は限られている。政策の立て直しは、イングランド銀行の独立性の強化、規律ある財政ルール、防衛投資の財源を確保するための信頼できる計画から着手すべきである。早期に実行すれば、英国のリスクプレミアムが低下し、英ポンド建て資産の投資妙味が高まる可能性がある。一方、対応が遅れれば、スターマー氏と同様の過度に慎重な対応が繰り返されるリスクがある。

 

主なポイント:

  • 本格的な政策の立て直しは、金融政策の信認を財政圧力から切り離すことから始まる
  • 防衛投資は一時的な財政拡大を正当化し得るが、規律ある歳出との組み合わせが不可欠となる
  • 英国の財政指標は他の先進国と比べて遜色ない水準にあるものの、市場は依然としてリスクプレミアムを求めている

1997年5月最初の週末、発足間もないトニー・ブレア政権は、政策金利を決定する運営上の独立性をイングランド銀行(BOE)に付与した。これは英国の経済政策運営における大きな転換であり、政府に単一の政策以上の価値を持つ「信認」をもたらした。この政策の立て直しは10年間にわたり持続し、その後の多くの政策構想を実現する基盤となった。

英国は現在、当時と同様の転換点に立っている。新政権が引き継ぐ英国は、多くの面で適切な対応を進めてきた。財政ルールは引き続き堅持されており、他の多くの先進国とは対照的に、財政赤字は2028年までにGDP比3%を下回ると予想されている。それでも市場の警戒感は根強い。英国債利回りには依然として他の先進国を上回るプレミアムが上乗せされており、これが計画されるあらゆる投資のコストを押し上げる一方、英国株式市場はG7諸国と比べて大幅なディスカウントで取引されている(図表1)。

図表1:インフレ率と財政赤字は他の先進国と同等である一方、英国債利回りにはプレミアムが上乗せされている
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出所:ブルームバーグ、2026年7月時点。注記:UKは英国、USは米国、EAはユーロ圏、JPは日本。
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出所:ブルームバーグ、2026年7月時点。注記:UKは英国、USは米国、EAはユーロ圏、JPは日本。

英国が直面する問題は、金融政策と財政政策が相互に信認を損なっていることである。インフレ・ショックによって金利が上昇すると、債務返済コストが膨らみ、政府は歳出拡大を迫られ、それが新たな利上げ観測へと跳ね返る。この悪循環を背景に、政治家はBOEの責務やバランスシート上の損失に介入しようとしてきたが、それが中央銀行の信認をさらに損なっている。その結果、市場は英国資産に対してより高いリスクプレミアムを求めている。

バーナム氏による政策の立て直しは、この悪循環を断ち切ることから始めなければならない。

そのため、新政権はイングランド銀行の独立性を強化する必要がある。まず、物価安定目標の設定に関する独立性を付与し、財務面の独立性を欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備制度理事会(FRB)と同等の水準に整えるべきである。市場はこうした細部を見極め、価格に織り込む。英国は大西洋の対岸に手本を求めるべきだろう。新たにFRB議長に就任したケビン・ウォーシュ氏はタカ派的な政策スタンスを示しており、政治的圧力に直面する中でも中央銀行の独立性を強化している。

新政権はまた、既存の財政ルールが本来の役割を果たせるようにする必要がある。欠点はあるものの、この指標で見れば英国は他の先進国と比べて良好な状況にある。他国が頭を悩ませることのない「財政余地」という概念に国全体が過度にこだわる状況を改め、金利が変動するたびに小規模な危機として扱うことをやめる必要がある。

債券市場は、すべての財政赤字を同じようには評価しない。信頼できる政府であれば、政治的なタブーにも踏み込んで実効性のある歳出削減を行い、困難な決断が可能であることを明確に示すことで、より多くの借入を行う余地が生まれ得る。

スターマー政権は、これとは逆の対応を取ったと一般的に見られている。例えば、冬季燃料費補助を巡る方針転換は、閣僚が与党内の反発に直面する度に弱腰になるとの見方を定着させ、英国債利回りもそれを反映して上昇してきた。

市場は今後さらなる増税が行われる可能性を織り込みつつあるものの、増税だけでは財政規律への強い決意を示すには不十分と見られる。財政への信認を得るには、歳出削減が必要である。

最後に、英国は防衛分野への投資を進める必要がある。新政権は、その財源調達方法を検討するタスクフォースを設置し、防衛費の増額分を明確に区分して確保すべきである。政府から一定の距離を置く独立したタスクフォースは、英国がEU型の一時的な適用除外を導入するための信頼できる足掛かりとなり得る。このアプローチの利点は、既存の財政ルールの厳格な順守を引き続き求めながら、防衛力を急速に増強するための一時的な財政余地を確保できる点にある。

確かに、これらの対応だけで大きな経済成長を実現するには不十分だが、そのために不可欠な前提条件ではある。

信頼できる政策の立て直しは、英国固有のリスクプレミアムを徐々に低下させ、政府が望む政策を実行するための貴重な財政余地をもたらすとともに、長らく割安と見られてきた英国債および英ポンド建て資産のリスク・リターンを改善する。バーナム氏の政治的求心力が高いうちにこれを実行しなければ、市場を動揺させて金利の急上昇を招くか、あるいは慎重になりすぎた結果、スターマー氏の時と同様に好機を逃すことになりかねない。

著者

Katharine Neiss, PhD、グローバル経済副責任者兼欧州地域チーフ・エコノミスト

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