アフォーダビリティ(住宅取得の手頃さ)を巡る問題が何百万人もの米国民に影響を及ぼすなか、集合住宅の取得と改修が果たす役割は、アラバマ州モービルのような活気ある地域社会を支える上で重要になっている。
PGIMのブリッジ・トゥ・エージェンシー・ファイナンスは、モービルや米国南東部のその他の2都市に所在する3件の集合住宅の取得とバリューアッド戦略を支えた。物件の改修が完了後、借り手は4物件860戸からなるポートフォリオ全体について、総額9,380万米ドルの取引でフレディマックの変動金利ローンへと借り換えを行った。これは、エージェンシー・レンディングの柔軟性、効率化された審査プロセス、競争力のある借入コストが活用された好例である。
こうした取引は、全米の地域社会における継続的な投資と経済的安定を後押しする。エージェンシー・レンディングは、既存住宅の改善、活気ある地域経済を支える労働者向けの住宅の供給、食料品店や銀行など日常生活に不可欠な施設の開発促進を通じて、地域の住民や企業に好影響をもたらし得る。
拡大を続けるエージェンシー・レンディング市場は、コスト環境が厳しさを増す中、流動性や全体的な市場活動を支えるとともに、全米の手頃な価格の住宅(アフォーダブル住宅)の供給拡大にも貢献している。全米で、手の届きやすい住宅に対する需要が高まる、ファニーメイやフレディマックといったエージェンシーによる流動性の供給は、集合住宅や賃貸住宅市場に追い風となり得る。
金利が高止まりする環境において、ファニーメイやフレディマックなどの政府支援機関(GSE)は、集合住宅のオーナーに市場で競争力のある融資条件を提供している。GSEは、厳しい事業環境や売買活動が低調な状況が続く不安定な不動産市場に必要な流動性を供給することで、市場の安定化を支えており、市場環境の形成に大きな影響を与えている。
2026年にファニーメイとフレディマックによる集合住宅向けローンの購入上限額が大幅に引き上げられたことは、供給制約と住宅取得の手頃さを巡る課題を抱えた局面において、資金調達需要が旺盛であることを示している。2026年上半期の集合住宅向けモーゲージローンの組成額は、前年同期比24%増加した1。下半期に入っても、ファニーメイとフレディマックには依然として十分な資金余力が残されており、回復にばらつきが見られる米国の集合住宅市場にとって明るい材料となっている。
米国連邦住宅金融庁(FHFA)は、GSEが購入できる集合住宅向けモーゲージローンの総額について、年間の上限額を設定している。FHFAは2026年、ファニーメイとフレディマックにそれぞれ880億米ドル、合計で1,760億米ドルの購入上限額を割り当てた。これは2025年の上限額である1,460億米ドルから20.5%の増加であり、アフォーダブル住宅向け融資を下支えするとともに、集合住宅向け融資の流動性を高めている2。
GSEは、金利ボラティリティの高まり、低調な不動産の取引、新規供給の減少に直面する集合住宅市場に対し、流動性と透明性の高い融資条件を提供できる立場にある。ファニーメイの2026年7月までの年初来ローン購入額は366億米ドルに達したが、依然として上限額の半分未満(41.6%)にとどまる3。フレディマックも同様で、年初来のローン購入額は357億米ドル(40.6%)となっている4。
ファニーメイとフレディマックのローン購入上限額の設定に当たり、政府は購入するローンの少なくとも半分をミッション・ドリブン住宅またはアフォーダブル住宅に振り向けるよう求めている。ミッション・ドリブン住宅とは、FHFAが定義するアフォーダブル住宅とは異なり、賃料や所得の制限を受けない物件を指す。ミッション・ドリブン住宅事業に関する要件に加え、ワークフォース住宅向けローンを購入上限額の対象から除外する措置により、アフォーダブル住宅向けの資金供給が拡大している。
住宅取得の手頃さは、米国民にとって最も重要な経済的課題の一つとなっている。金利ボラティリティの高まりと、コロナ禍における住宅価格の急騰が家計を圧迫し、住宅の取得は多くの人にとって手の届かないものとなっている。ギャラップ社の調査によると、米国で持ち家を所有していない人のうち、今後5年以内に住宅を購入する見込みがあると回答したのはわずか25%で、同社が2013年にこの項目の調査を開始して以降、最低の数字となった5。
米国では、賃貸住宅や都市部の住宅を好む傾向が強まる、若年層から高齢者層までの幅広い世代で、手頃な価格の集合住宅への需要が高まっている。
ピュー・リサーチ・センターによると、米国では過半数が依然として人口密度の低い地域の広い住宅を好むものの、学校、商業施設、飲食店などが徒歩圏内にある小規模な住宅を好む人の割合(44%)は、コロナ禍後に上昇している。同調査では、最も若年の層(18~29歳)と最も高齢の層(65歳以上)が都市部の住宅を選好する傾向が見られ、それぞれ54%と47%だった6。
一方、新規供給予定案件は相対的に不足している。6月末時点で建設中の集合住宅は約47.5万戸と、2013年以来の低水準となっている。その背景として、資金供給が選別的になっていることや、資金調達と建設のコストが上昇していることが挙げられる。こうした中で、サンフランシスコ・ベイエリアやネバダ州リノといった供給制約のある市場が牽引役となり、募集賃料は上昇している7。
住宅取得の手頃さの悪化と、それに伴う集合住宅への需要の高まりを受け、市場の供給面を強化するための立法・規制上の取り組みが進んでいる。2025年に成立した「1つの大きく美しい法案」には、ファニーメイとフレディマックが低所得者向け住宅税額控除(LIHTC)の対象物件に毎年投資できる金額を、それぞれ20億米ドルに倍増させる条項が盛り込まれた。こうしたエクイティ投資は、アフォーダブル住宅市場における供給拡大を促す。また、2026年7月に施行された「米国住宅供給促進法」は、建設に関する規制上の障壁の緩和や、収益不動産からアフォーダブル住宅への用途転換の促進などを目的としている。
こうした施策やGSEのローン購入上限額の引き上げは、大規模な満期の壁が迫る中で実施された。歴史的な低金利環境で組成された2021~2022年ビンテージの集合住宅向けローンの約60%が2026年下半期に満期を迎える見込みであり、借り手が高い資金調達コストで借り換えを行う必要があることから、資金ギャップが生じる見通しである。2026年に満期を迎える集合住宅向けローンは推定1,620億米ドルと前年比56%増加し、2027年にはさらに1,680億米ドルが満期を迎える8。市場参加者の間では、借り手の負担を軽減し、既存の不動産ストックを下支えする目的で、2027年にローンの購入上限額が再び大幅に引き上げられる可能性があるとの見方が出ている9。
地域に根差した専門性を有し、エージェンシーと借り手の双方と強固な関係を構築している運用会社は、全米のアフォーダブル住宅の供給拡大で大きな役割を果たすと考えられる。これにより、人々の日常生活にプラスの影響を与える、活気あるコミュニティの形成が促されるだろう。連邦政府の各種住宅支援制度や地域ごとの規制上の協定に対応したローンを組成できるエージェンシー・レンディング市場の参加者は、賃貸住宅のオーナー向けに多様で柔軟な資金調達ソリューションを提供することで、集合住宅の供給を支えている。これには、一般的な集合住宅やアフォーダブル住宅向けの個別融資に加え、クレジット・ファシリティなどの複雑なテーラーメイド型のソリューションが含まれる。
ファニーメイとフレディマックは、供給制約のある環境下で、集合住宅市場において強固で持続的な基盤を提供する存在となり得る。これらのエージェンシーが主導する流動性の供給は、市場の健全な取引活動を促し、新規住宅供給の拡大や既存のストックの安定化を後押しすることで、数百万人もの米国民にとって住宅を取得しやすく、手頃なものとしている。
住宅取得の手頃さ、供給拡大に向けた取り組み、大規模な満期の壁が引き続き焦点となる中では、市場環境の形成にGSEが及ぼす影響力を踏まえると、規制面の動向を注視する必要がある。
不動産市場の動向にばらつきが生じ、資金供給が選別的になると、融資判断や引受審査は一段と複雑化する。こうした環境において、ファニーメイとフレディマックは、流動性の重要な供給源として、競争力のある融資条件を市場に提供している。借り手やその他の市場参加者にとって、エージェンシーによる融資へのアクセスを有し、集合住宅向けローンのあらゆる領域で資金ソリューションを提供可能な専門性を有する運用会社は、有益なパートナーとなるだろう。
著者
Mike McRoberts、エージェンシー・レンディング責任者、PGIMリアルエステート
Stephanie Wiggins、エージェンシー & FHAプロダクション責任者、PGIMリアルエステート
留意事項
本資料は、海外グループ会社が作成した情報提供資料をPGIMジャパン株式会社(以下「当社」)が翻訳・編集したものです。原文(英語版)と本資料の間に差異がある場合には、原文(英語版)の内容が優先します。
本資料は、金融機関、年金基金等の機関投資家およびコンサルタントの方々を対象としたものです。
本資料は、情報提供を目的として作成されたものであり、特定の証券や金融商品等の販売・勧誘・推奨を目的としたものではありません。
個別銘柄の表示はその売買等を推奨するものではありません。
本資料に記載された内容等については今後変更されることもあります。
過去の運用実績は将来の運用成果等を保証するものではありません。
本資料に記載されている市場関連データ及び情報等は信頼できると判断した各種情報源から入手したものですが、その情報の正確性、確実性について当社が保証するものではありません。
本資料は法務、会計、税務上のアドバイスを行うために作成されたものではありません。必要に応じて専門家にご相談ください。
本資料に掲載された各インデックスに関する知的財産権及びその他の一切の権利は、各インデックスの開発、算出、公表を行う各社に帰属します。
当社による事前承諾なしに、本資料の一部または全部を複製することは固くお断り致します。
“Prudential”、“PGIM” 、それぞれのロゴおよびロック・シンボルは、プルデンシャル・ファイナンシャル・インクおよびその関連会社のサービスマークであり、多数の国・地域で登録されています。
当社は、世界最大級の金融サービス機関プルデンシャル・ファイナンシャルの一員であり、英国法人のプルーデンシャルplcおよび英国法人のM&G plcの子会社であるプルーデンシャル・アシュアランス・カンパニーとは何ら関係がありません。
プルデンシャル生命保険株式会社、ジブラルタ生命保険株式会社、PGF生命(プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社)及びPGIMリアルエステートジャパン株式会社は当社のグループ会社であり、別法人です。
Collapse SectionPGIMJ133516 6064031_PGIM-20261028