プライベート・クレジット・シリーズ:パート3

ABF投資の次なる局面

投資パフォーマンスを左右する

ストラクチャー設計とポートフォリオ管理

資産の枠を超えて広がる投資機会

  • プライベートABF(アセット・ベースド・ファイナンス)市場が拡大する中、ストラクチャー、コベナンツ、そして貸し手の支配力によって、投資成果がますます左右されるようになっている。
  • 真に裏付資産を有する相対取引と、単に企業与信をリパッケージしたものに過ぎない裏付資産に乏しいストラクチャーを峻別することが肝要である。
  • ABFは利回り向上と分散に資する一方、その成否は継続的かつ能動的なモニタリングとポートフォリオ全体での集中リスクの管理にかかっている。

ABFは、機関投資家がより高い利回りと差別化されたリターンの源泉を求めるなか、プライベート・クレジット市場で最も急速に成長している分野の一つとなっている。しかし、市場の拡大に伴い、裏付資産そのものだけでなく、その裏付資産に影響を与える様々な要因について理解することがますます重要になっている。

ABFは、幅広い収益源や分散投資の機会を提供し得る一方で、ポートフォリオにおいて果たす役割は取引のストラクチャー、ガバナンス体制、そして継続的なモニタリングによって大きく左右される。市場の裾野が広がるなか、投資家にとっての課題は、単に投資機会を見出すことではなく、それぞれのエクスポージャーが投資目的の達成にどのように貢献するのかを見極めることにある。

より高い利回り:プライベートABFの対米国国債スプレッド

社債スプレッドに対するABFの上乗せスプレッド(2015~2026年の期間に取引件数が10件以上あった格付区分に限る)

出所:PGIM、2026年8月時点。

幅広い役割

ABF市場は、裏付資産の種類、取引のストラクチャー、投資目的が非常に多様であり、差別化されたリターンの源泉や分散投資をもたらすだけでなく、機関投資家がポートフォリオを構築するうえでの幅広い選択肢を提供する。

したがって、多様なABFの投資機会の特性を理解することは、プライベート・クレジット投資への資産配分において、それぞれの機会がどのような役割を果たし得るのかを見極めるうえで非常に重要となる。

ABFの投資機会

スプレッド/リターン水準とプライシング時点における加重平均残存期間による位置付け


出所:PGIM、2026年8月時点。

当図は例示のみを目的としたものであり、担保資産、ストラクチャー、返済の優先順位、格付、償還スケジュール、市場環境などによってパフォーマンスは大きく異なる可能性があります。また、個々の投資機会が複数のポートフォリオの目標達成に貢献する場合もあります。スプレッドと加重平均残存期間は、すべての取引間で直接比較できるものではありません。過去の実績は将来のパフォーマンスを示唆するものではありません。

市場サイクルを通じた視点


従来の企業向け融資とは異なり、多くのABF取引では、投資期間を通じて裏付資産に関する情報に継続的にアクセスすることができる。延滞率、期限前返済率、回収率、サービサーからの報告内容といった情報を通じて、投資家は信用環境の変化や裏付資産の質の変化をより早い段階で把握できる。こうした透明性は、市場環境の変化に応じた、より機動的なリスク管理を支える要因となる。

高まるガバナンスの重要性

優れたサービシング体制

確実なキャッシュフロー回収と適切な情報開示は、高い透明性を支える基盤となる

コベナンツと投資家保護

適切に設計されたコベナンツは、リスクの高まりを早期に察知するシグナルとして機能するとともに、投資家の権利を保護する役割を果たす。

貸し手によるコントロール

明確に定められた権利により、パフォーマンスが悪化した場合に貸し手は必要な措置を講じたり、関係当事者を交代させることが可能。

継続的なモニタリング

投資後も継続的にデューデリジェンスを実施することで、問題の兆候を早期に察知し、適切な意思決定を行うことが可能。

投資パフォーマンスは、裏付資産そのものと同様に、ガバナンスやストラクチャーによっても大きく左右される。貸し手保護条項、サービシング体制、コベナンツの枠組み、さらには市場環境が悪化した局面で投資家がどの程度コントロール権を行使できるかといった要素は、時間の経過とともにパフォーマンスに大きな影響を及す。したがって、ABF投資では、信用力の分析に加え、ストラクチャリングや案件管理に関する深い専門性を兼ね備えることが不可欠となる。

ケーススタディ:ABFを通じて利回り、質、分散のバランスを図る

プルデンシャル・フィナンシャル・インク(PFI)は、第一に利回りの向上を、第二に分散の強化を目指した。対象としたのは、パブリックおよびプライベートの社債と商業用不動産に集中していた固定利付ポートフォリオである。信用力を犠牲にすることなく、既存資産とは性質の異なる収益源とリスクを取り込むことが狙いだった。

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